切実な医療費問題
ペットの医療費は高額すぎる!
ちょっとケガしたとか、ちょっと風邪ひいたとか、ちょっと検査とかでちょっと病院へ行くとすごい金額でびっくり仰天!なんてよくあることですよね。
ちょっと入院すれば軽く10万円はいきます。
苦しくても治療を打ち切れば命に関わるので打ち切れない、でも払えない…なんてこともよくあること。
人間の場合は3割負担とか1割負担なので安く感じますが、ペット医療は基本全額負担。
先日夫がエコーして5000円もした!と言っていましたが、ちょっと前にるりがエコーしたときは3万超えました。
保険に入っていればと後々思うこともあるでしょうし、しかし適用外が多いのも事実。
ちなみにうちは保険に入っていませんが、どのみちるりの場合先天性のため適用外です。
1年前にるりが余命宣告されたときの手術代なんて70万円。
そのときの記事では金額についてはスルーしていますが、正直うちの口座に70万円なんてありません。
かわいい孫のことなので手術をするならば私の両親が出してくれることになりましたが、ちょっと何かあるたびにこんな金額がかかっていてはやっていられません。
医療ローンなどに頼らなければならない方も多いと思います。
日本は医療だけでなく殺処分などいろいろな面で後進国と言われていますが、もう少しだけ優しくなってほしいものです。
1歳でいきなり余命数日宣告を食らう
このままだとあと数日!手術に賭けるか!?いきなり決断を迫られる
2018年2月、ちょうど1年前のことです。
元気にしていたはずが、なんか食欲ないなと思って病院に行くとBUN140オーバーで、体重は1.6キロで、静脈点滴のためその場で入院が決まった。
ちなみに入院中、うんちしないんですよーと看護師さんに言われ心配していると、面会時に私の膝の上で、よりによって白いスカートの上でたっぷりしてくれた。
数日間入院し、途中からは私のわがままで朝晩送り迎えをして日中だけの点滴になった。
どうやら尿管に詰まりがあるかもとのことで、東大病院へ。
そういえば水を飲む量とおしっこの量が減っていた。
多飲多尿は腎不全の症状だから、それがなくなったのはてっきり良い兆候かと思っていた。
2度目の東大病院。夫は仕事だったので私ひとりで連れていきました。
検査の結果、もともとほとんど機能していない腎臓が尿管結石のせいで更にやられてしまっていた。
尿管が詰まっているのでおしっこも少ししか出ない。
薬で詰まりがとれる可能性は低く、手術しか方法はなかった。
手術自体は単純で、尿管のつまっている部分を切り取りつなぎ合わせるというもの。
健康な子なら難しい手術ではないらしい。
ところがるりの場合手術に耐えられる体力がない。
手術ができるような数値ではなかった。
もしやるならば一刻も早くとのことで、その場で入院させ静脈点滴で少しでも数値を良くして明日手術を行うと言われた。
費用は約70万円。
ただし手術をしたとしても、普通の健康な猫のように暮らせるまで回復するかはわからないとのこと。
術後入院中に亡くなってしまうかもしれないし、退院できたとしても元気のないぐったりとした猫になるかもしれない、透析が必要な体になるかもしれない、元気に暮らせたとしてもそれがどのぐらい続くかもわからない。
今までで2番目に難しい症例ですと言われた。
先生もやってみないとはっきりしたことは言えないそうだ。
そしてもしも手術をしなければ、あと数日から1週間と言われた。
急すぎて意味がわからず涙も出なかった。
その時点では、ならば手術に賭けたいという気持ちという気持ちのほうがどちらかというと強かった。
「先生の子なら手術しますか?」と聞くと、
「僕は外科医として手術を勧める立場にありますし、そう聞かれるとだいたいやりますと答えています。でも今回もしも自分の子で、自分が執刀するとしたらやらないと思います。」と言われた。
こんな大事な決断を今この場で、しかも私一人で決められるわけもなく、とりあえず明日手術できるようにるりは預け、夕方まで考えさせてもらうことにした。
たった数時間しか考える時間はなく、答えのないことに決断を下さなければならなかった。
夫には先生の話をメールしたが当然夫も決められるわけなく、私は母に電話したりしたが、結局は家族で決めることだ。
このまま数日でるりを失うなら、手術に賭けたかった。
でもそれを正解と言い切る自信はとてもなく、結局決められない。
最後に決断したのは、もし私なら?で決めた。
病院になんていたくない。
わずかな時間を、好きな人と好きな服を着ておいしいものを食べて、楽しいことをして死にたかった。
ようやく決心をつけ病院にるりを迎えに行った。
私は涙と鼻水だらけの顔で聞いた。
「死ぬとき苦しみますか?」
腎不全で亡くなる場合苦しむこともあり、場合によっては安楽死を考えることもあるかもしれないと言われた。
安楽死という言葉がよりるりの死が近いことに現実味を持たせた。
でも、先生と看護師さんがとても優しくて救われた。
こんな話をしている最中るりは優雅に毛づくろいを始め、看護師さんにスリスリしていた。
もう数日ならおいしいもの食べさせようとお刺身を買って帰宅した。
ところがこの状態。何も食べなかった。
私はひとりで床に転がって泣き叫んだ。
そのうち目が腫れて半分ぐらいしか空かなくなって、鼻水で口呼吸しかできなくなったが、泣きながらるりのカリカリごはんを食べていた。
るりはそんな私をドン引き顔で見ていた。
今思うと普通に引きますね。
なんでるりなの?
るりばっかり
今までたくさん苦しんだのに
なんでたった1歳で
何のために生まれてきたの?
私の腎臓をあげたかった。
倫理的にいろいろ問題視されている腎移植でもやりたかった。
るりが助かるなら何でもよかった。
なす術もなく葬儀場を探し、大量におもちゃを買って、残りの数日をるりのためだけに生きた。
ところがなぜか数日後にはごはんをもりもり食べてキャットタワーに登っていたのです。
すぐに病院に電話、再検査するも尿管の詰まりも数値も変わらず。
「不思議な猫ちゃんですね」と先生は仰った。
もともと悪いため慣れたのだろうと。
ここから毎日の皮下点滴が始まったのでした。
末期腎不全の子が、悪い数値を維持しながら元気に生きていきます。
腎不全猫あるある5つ!
腎不全も個性!楽しく暮らそう
腎不全の子を持つご家族ならきっと共感していただける、あるあるをまとめてみました。
闘病生活だって、猫さんと過ごす大切な時間です。
1、口が臭い
感じ方は人それぞれですが、るりはナンプラーの匂いがします。
拾った当時は臭いので何度も洗いましたが、洗っても洗っても臭い。
洗った直後から石鹸のにおいと合わさるナンプラー臭に、これは体臭なんだと気が付きました。
今ではあくびをしそうになるとダッシュで匂いを嗅ぎに行きます。
彼女が口に入れたおもちゃも強烈に臭くて何度も嗅いでしまいます。
なんとか匂いを永久保存できないのかと真剣に考えています。
2、ごはんを食べる、おしっこをするだけで喜ばれる
思えば赤ちゃんのときみんなそうだったのに、いつから当たり前になってしまったのでしょう。
3、用もなく呼ぶ
元気なときは遊びたいとか食べたいとかの要求で呼んだ子も、その体力がなくなってくると、意味もなく「ただ呼んだだけ」をするようになります。
最初はどうしたいの!?と戸惑いましたが、るりの場合は呼んだら来るのがおもしろいだけでしょう。
甘えているのです。
人間でもわが子が呼んだら来るようになったら意味もなく呼びまくりますよね?
5、皮下点滴が上手になる
最初は苦戦する方も多いはず。
実際私も「体に針を刺す」ということに抵抗があり怖かったです。
用意していることに気づかれればソファーの下に逃げ込むのでこっそりやりのもまた大変。
しかし2年もやっていれば、ずいぶんスマートにできるようになったものだと我ながら思います。
4、財布が軽くなる
切実な問題です。
払えなくても払うしかないのが苦しいところ。
わが子のためにがんばるしかないのはわかりつつ、ちょっと体調崩しただけで何万単位がすごい勢いで飛んでいくので、会計のたび勘弁してくれ!と思います。
闘病生活は猫さんにとっても飼い主さんにとっても大変なことが多く、絶望的な気持ちになることもあると思います。
でも負けないで!こんなにがんばってもらえて猫さんは幸せです。
腎不全猫2年間での数値の変化
こんな数値でもだいたい元気
病気に気が付いてから、2年間のたくさんの検査結果。
死にかけたときもあるし元気なときもある。
避妊手術でおなかを開けば謎の出血があったり、家出をしたり余命宣告されたりいろいろあった2年間ですが、BUNとクレアチニンだけ時系列に書いてみます。
0歳3か月
BUN151 CRE3.9 ここから治療を始めます。
↓
BUN65.6 CRE2.0
↓
BUN86.0 CRE1.8
↓
BUN76.5 CRE1.8
↓
BUN78.8 CRE2.5
↓
BUN59.2 CRE3.4 避妊手術をしました。
↓
BUN>140 CRE10.3 尿管の詰まりもあり余命数日と宣告されました。
↓
BUN 111.1 CRE4.2 尿管詰まりっぱなしだがなぜか元気になる。
↓
BUN114.8 CRE4.8
↓
BUN1122.6 CRE4.4
↓
BUN115.9 CRE5.8
↓
BUN114.6 CRE5.0
↓
BUN119.4 CRE6.3
↓
BUN105.3 CRE5.8
↓
BUN123.7 CRE5.3
↓
BUN120.9 CRE5.4
↓
BUN127.0 CRE7.0 急に食べなくなりました。
↓
BUN136.3 CRE6.2 入院して静脈点滴をします。
↓
BUN>140 CRE5.2 現在2歳3か月。なかなか本調子にはならず。
上下しながらゆっくりゆっくり悪くなっています。
でもほとんどは元気に走り回っています。
人間でも急に酸素がなくなると苦しいけど、ゆっくり酸素が薄くなればどうにかなるのと同じで、数値的にはこれでも体が慣れているのでそれほどしんどくないようです。
二度目の復活を信じてがんばります。
るりと家族になった日
家のまえに居座り続ける小汚い系のら子猫
るりと初めて出会ったのは、11月のある日の散歩中。
当時私たちが住んでいた宝島というのは、鹿児島県の離島で位置的には奄美大島に近い全周15キロぐらいの小さな島。
病院もないスーパーもないで、散歩ぐらいしかすることがなかった。
誰かがごはんをあげているのら猫はたくさんいたが、みんな6月に生まれていた。
そんな中うずくまっている子猫を発見。
少し撫でて、「こんな時期に?」「冬越せないだろうね」と夫と話していた。
それからというもの、毎日家の前に座るようになってしまった。
家族にする気はなかったが、ごはんとお水は置いた。
我が家にはくろがいて、猫をもう一匹飼うほどのお金はなかったから。
時期外れの子猫だったこと、小さい島だったことから簡単にお母さんを特定できたので、毎日居座る猫を戻した。
しかし戻して数時間後には家の前に座っていた。
意を決して彼女を自宅にあったてきとうな袋に入れ、海へ。
家に帰ってお風呂に入れて、一緒に寝た。
名前はつけず、里親を探すことにした。
ところが案の定難航。残念ながらうちの子になった。
仔犬とか仔猫とか、動物の赤ちゃんって無条件にかわいいはずか今思うとあんまりかわいくなかった。
ふっくらむくむくしてくれて、今のほうがずっとかわいい。
何より、うちを選んでくれてありがとう。
この後とんでもない医療費がかかるとは、想像もしていないのでした。